『秀吉の枷』 上・中・下 加藤廣

文庫で、上・中・下 巻に及び、

約1,000ページの大作です。

いやぁ、あっという間に読み終わりました。

良くも悪くも『司馬毒』に犯されてるので、

 

家康は嫌い。

信長と秀吉は好き。

三成はもっと好き。

 

大雑把に、こんな感じ。

 

・・・個人にスポットを当てた小説よりも、

関ヶ原』とか

『城塞』

真田太平記

等の一族や戦いを描いたものの方が、好きなのかもしれない。

 

 

秀吉の枷〈上〉 (文春文庫)
秀吉の枷〈上〉
加藤廣
 
 

『秀吉の枷』は、文句なく傑作である。

しかし、読後感はよくない。

何しろ、秀吉がかわいそうに思えて仕方ない。

その後ろで、嫌いな家康が笑ってるようだし・・・・。

 

 

男として子を成せないと知ったときはどうだろう。

30代の頃、サラリーマン時代。

親会社の仲良くしていた同い年の同僚に、

まさにそのことを、呑み会の席で打ち明けられて、

絶句した覚えがある。

病院に行って判明したとのこと。

二の句が告げなかった。

 

秀吉の女好きを、

おたふく風邪の後遺症で子を成す可能性が低い、

裏返しと捉えている。

作者の優しさか?

中巻後半から、やけに、子作りに関して筆を割くので、

男として、悲しくなってきたのは事実。

 

あぁ、

 

嗚呼、

 

あゝ、

 

書くの難しい、

 

 

秀吉の枷〈中〉 (文春文庫)
秀吉の枷〈中〉
加藤廣
 
 

秀吉の生涯なのだから仕方ないとは云え、

 

 

子が成せず、

秀次を亡き者にし、天涯孤独になり、

やっと出来たと思うたら、不倫の子、

 世間では、それが周知の事実であり、

数々の悪行から、腹心たちもいなくなり、

体も思うように動かなくなり、

不倫の子を、我が死後『頼む』と

家康ごときに頭を下げる。

 祢々に手を取られながら、

意識薄れていく中、

秀吉は何を思ったろう。

いい人生だったのかな。

 

 

それは流石に、いい思いもしただろう。

それも、気が狂わんばかりの忙しさの代償かも知れない。

常に暗殺を意識して過ごす人生。

いか程のものか。

 

 

秀吉の枷〈下〉 (文春文庫)
秀吉の枷〈下〉
加藤廣

 

 

物語も終末近く、

前野将右衛門は、武士としてでなく、忍びとして、

ひとり寂しく自害して(毒を飲み)果てた。

 

秀吉は、祢々に手を取られながら死んでいく。

 

この作品を、読む限り、

 

前野将右衛門のほうが、幸せだったように思えてならない。

 

 

 

 

 

『死』

 と

『老い』

 

に関して、久しぶりに考えさせられた。 

 

 

 

 

 

 

最期に、枷の意味を

 

〇 枷 (かせ)

 

罪人の首や手足にはめて自由を束縛する、昔の刑具。

転じて、人の行動を束縛する邪魔物。

 

 

題名も素晴らしい。

 

 

『秀吉の枷』

 

 加藤廣 渾身の傑作である。

 

 

2016.12.22                       続く

 

 

本探し

本を探すとき。

 

①自分の未読の棚から。

②書店で。

③皆様の感想から。

 

最近は、③の皆様からの情報が一番になってます。

 

商売抜きで書いているので、辛辣だったり、べた褒めだったりと、

ある程度、引き算して読まないといけないとは思いますが、

正確な情報としてそこにあります。

 

ミステリーでも、歴史ものでも、

 

コテンパンに書く(批評する)人がいますが、

 

流石によく読んでるなぁと感心する反面、

 

そこまで理解力があると、よほどの本でない限り、

 

『感動』から遠くなってしまうのではないかなと、

 

思います。

 

映画の批評もしかり。

 

曰く

 

『史実と違う』

 

誰の史実だよ! 見たんかい?

 

『つじつまが合わない』

 

解釈の違いじゃないんかい? 感覚の差じゃないの?

 

とか・・・・・

 

僕が、作品、

 

小説だったり、ドラマであったり、映画であったり、音楽であったり・・・・

 

 

一番に、重きを置くものは、

 

 

『面白いかどうか?

 

 

『楽しいかどうか?

 

 

ですかね。

 

いいじゃん。

 

信長が、本能寺の変の後も生きてても。

 

義経が、逃げ延びて、モンゴルに行っても。

 

殺人犯が、空中に浮いてても。

 

家康が、影武者だったとしても。

 

自衛隊が、戦国時代にタイムスリップしても。

 

 

 

 

『楽しきゃいい!』

 

 

 

たかが娯楽・・・・。

 

 

 

 

逆に、楽しめないと損だな。

 

 

 

 

 

悲しいことに、記憶力がびっくりするくらい悪いから、何度でも味わえるしな。

 

 

 

 

 

 

2016.12.21                       続く

『のぼうの城』上・下 和田竜

大好きな本が、一冊増えました。

 

感謝です。

 

①テレビで映画を見た記憶が有り、なかなか良かった。

夜の古城でのぼうが歌い踊るシーンが印象的でした。

②表紙イラストと装丁が良かった。

③歴史物にしては、それなりのページ数で、ちょうど良さそう。

本屋大賞2位

真田丸でも忍城出てきたなぁ。

 

こんなミーハーな、条件から本屋さんで買ってきました。

 

 

のぼうの城 上 (小学館文庫)
 
 
 

読み始めたら止まらないとは、このことですね。

結局、一晩で読了。ほぼ徹夜。

15日に読み始めて、今日は、12月16日。

一日、早けりゃ、討ち入りだっツーの。

 

あっさりしてると言わば言え。

されど、このさくさくな爽快感、スピード感たるや、

他の歴史小説からは得られない快感。

大好きな、池宮彰一郎さんの『本能寺』の説明の多さに辟易して

下巻途中で止まっている身としては、

この、エンターテインメント歴史小説最高!!

 

 

そもそも、忍城に関してそんなに知識がありません。

戦国モノ、特に秀吉絡みの小説には、必ず出てくる話でしょうが、

読んでいて、出てくる数多の合戦の一つとしての認識があればいい方かと・・・。

 

 

 

のぼうの城 下 (小学館文庫)
 
 
 

三成メインの小説ならば、忍城も結構掘り下げて出てくるはず。

30年も前に、読んだ司馬さんの『関ヶ原』・・・・・当然記憶なし。

 

ですから、全てが新鮮。

どんな解釈されても、そうなんだと感心しきり。

だからか、登場人物がみんな自由!

キャラが濃い。

和泉なんか、ページからぽんと出てきそうなくらいの実在感。

そんな濃い人物たちが、所狭しと動き回ります。

 

 

侍だからとか、武将だからとか、一切関係なく

たまたまその時代に生まれただけ!

そんな感じで、ひとりの人間としてページからはみ出て動き出します。

 動き出して、絡み合っていく、

面白いに決まってます。

 

まさに、作家冥利。

 

そして、読者冥利。

 

 

本当の開戦は下巻なのですが、

そこに至るプロセスも、余計なことをグタグタと書かないので、

物語を読み始めるとすぐに忍城での戦いにつながっていきます。

若干の説明はあるものの、短めで、くどくない。

作者もたまに出てくるものの、しつこくない。

時代背景に筆を割かずに、会話やストーリーの推進力に筆を費やしてくれてます。

 

そこが、非常に好みで、本作品の持ち味、サクサク感になってます。

 

いろんないいシーンがあるものの、

上下巻約400頁を、

読み終えての、満足感が素晴らしいです。

 

作品の最後に、

さすが脚本家と思わせる、

登場人物のその後を、紹介していきます。

全く陳腐さはなく、

最後、人でなく、城で締めるところが

心憎い、演出でした。

 

こういう本に出会えて幸せ。

和田竜先生、ありがとう。

 

 

 

 

 

 

2016.12.16                         続く

 

 

 

『蒲生邸事件』 宮部みゆき

シックスセンス』のナイト・シャマラン監督は、映画学校で、

『編集に悩んだら、大好きなカットから順番に切っていきなさい』

と、こう教えられたとか。

 

なるほど、

なるほど、

 

思い入れが、判断を狂わすということかな?

 

 

テレビドラマを見ていて、登場人物が次に吐くであろうセリフの予想が、

付くようなドラマは、見ていて面白くない。

そりゃそうだ!

その一言を、脚本家は苦しみぬいて、寝ないで、書くのだから。

2秒や3秒の間で、素人に予想されるような陳腐なセリフじゃ、

プロの脚本家とは言えない。

 

蒲生邸事件を読んでそんなことを考えました。

 

読者の期待を良い方に裏切る。

本作品は、まさにそれ。

 

 

蒲生邸事件 (文春文庫)

 

 

歴史モノでは、

織田信長は、本能寺で明智光秀に討たれる。

 

広く知れ渡った『情報』だ。

広く知れ渡った『事実』ではない。

だって、見てないもんね。誰も。

 

本能寺で討たれなかったら?

生き延びていたら?

とすると、歴史モノから、歴史ミステリー物になる。

 

日本Sf大賞を受賞したこの作品。

『蒲生亭事件』

後ろの解説には、二月二十六日の未明の火災で、

昭和十一年のまさに2・26事件が起きようとしている場所にタイムトリップした。

かいつまんでそんな事が書いてある。

キーワードは、

『SF』

『蒲生亭』

『タイムトリップ』

の三つ。

 

事件とか2・26は、その次。

 

宮部作品の、振り幅の広さは、読者ならば周知の事実。

・・・・てっきり、

SFタイムトリップ物というジャンルにくくってしまった自分がいた。

既にそこでやられた。

勝手にやられた感が、無くもないが、やられた。

 

これは、まさにヒューマンドラマだ。

 

2・26事件の知識と言ったら、

雪の日の未明に、誰かが、軍部か?政府か?何かにクーデターを起こした。

そんなくらいしかない。映画の知識にかぎりなく近い。

 

恥ずかしい。

日本の歴史教育を受けた人間の持つ弱点。それが近現代の日本史。

 

想い出す、

小学校六年生の時の担任の福島正章先生。

声のでかい、いい先生だった。

そういえば、地図帳貸したままだ。思い出した。

自分で、福島正則の子孫だといい。一字違いで確かに似てるがもちろんウソ。

鉄筋コンクリートのことを、鉄コン筋クリートといい。

林檎の蜜は、農家の人が、注射針で挿入している。もちろんウソ。

いろんな事、いっぱい教えてくれた。

会話の楽しさや、ユーモアとか、毒舌とか、

大人への階段を、少し広げてくれた、忘れられない恩師。

 

歴史が好きで、一年間のカリキュラムの半分くらいを、

戦国時代の勉強に費やしてくれた。

おかげで、戦国武将の名前はたくさん覚えたし、好きな武将も増えた。

 

後に司馬遼太郎の『関ヶ原』に出会えたのも、福島先生の

影響なくしては、出会えなかった。

 

半年以上、戦国時代だけの授業ってすごいよね!!

今ならありえない。

しかし、先生の話の面白いこと、楽しいこと、よく知ってること。

勉強って楽しいなぁって、唯一思えた時間かも知れない。

 

だから、僕は、

土器の時代も、平安京の時代も、明治維新以降ももちろん苦手。

 

しかし、それは、弊害では無い。

 

だって、歴史の面白さ、戦国武将の人間的魅力、うまくいかない時代の流れ

などたくさんのことを教えてもらった。

 

 

 

当然、この作品の、2・26も蒲生も良くは知らない。

 

知らなくても構わない。とでも言わんばかりに、作者は物語を進めていく。

小難しい、事件の背景などは最小限にとどめ、

 

人って?

 

時代って?

 

その時代に生きる意味って?

 

そんな、根源的な問いを投げかけてくる。

 

あるときは、平田に喋らせ、

あるときは、ふきに語らせ、

 

タイムトラベルと2・26事件という小道具を使いながらも、

宮部みゆきは、大切なことを教えてくれる。

しかも、恩義せがましくなく。

(女性作家だからなのかなぁ?ふとそう思ってしまう)

 

この物語は、ハッピーエンドなのだろうか?

それとも・・・・

 

 

読後感は、素晴らしく良い。

 

だから、いろいろあるけど、ハッピーエンドなのだろう。

 

自業自得とも言える駆け落ち組の二人以外は、

まずまずの人生を送ったようだし、

読者の皆が好きなふきさんは、幸せだったようだ。

 

 

様様な人と出会い、二つの時代を生き、稀有な体験をした、

主人公の尾崎隆史。

18にしてこんな経験してしまって、歪まないといいけど・・・。

 

 

ふきが、手紙に綴ったように

この世知辛い、平成の世を、どのように生きていくか、

非常に楽しみだ。

そして、頑張って欲しい。

 

 

 700頁弱という長編ですが、非常に読みやすく、

感情移入もしやすい。

積ん読してあったのが、もったいないくらいです。

 

 

暖かい、いい作品でした。

 

 

 

 

 

 

 

2016.12.15←討ち入りだねぇ                続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『バトルロワイヤル』高見広春

以前、よく参考にさせていただいた、

『書棚』という個人の書評サイトが有り、

今は閉鎖されてしまっているので残念なのですが、

そこで今作品の評価が高く、

えっ?

『バトルロワイヤル』???

本当に良いの??

 

 

バトル・ロワイアル 上  幻冬舎文庫 た 18-1

 

殺戮を繰り返す、くだらない三文小説という認識でした。

それは、映画のイメージだったのかもしれません。

食わず嫌いはいかん、いかんと、

いつかは読もうと思って、上巻のみを購入して3年くらい過ぎてました。

 

たまたま、今回下巻を手に入れることができて、拝読いたしました。

 

日本という設定を外し、なんとか共和国であるとか、金八先生のパロディ、

そもそも、中学生のひとクラスでひとり勝ち(生き)残るまで、

武器を与えて殺戮を繰り返させる。

その導入は、おじさんにしては、ちょっと

『ぷっ!』ってなってしまう。

 

しかし、平易な文章とひとりひとりに与えられた、キャラクターの

わかりやすさで、どんどんとページが進む。

確かに、すぐ人が死ぬ。

これから国を支えていくであろう、中学生が、いとも簡単に死んでいく。

しかも殺し合っていく。

 

そこに、小説にありがちな小難しい解釈や講釈はつけずに、

口語調の文体でずんずんと物語を推し進めていく。

 

デイパックに異なる武器を各自に支給。

この設定はいいですね。

インシテミル』にもありました。

中には、これが武器ですか?みたいなものも。

 

それと、行動できる場所が、時間ごとに制限されていくっていうのもいい!

自分があまり、そういったミステリー小説を読んでいないだけかもしれませんが、

この長い物語の戦闘のルール設定って大事ですよね。

 

武器による差別化、そして、場所による閉塞感が生まれて

よりリアリティに感じられる。

 

各章ごと終わりに、書体変えて太字で残り何人とあるのもいい。

昔からあった手ですかね??僕には新鮮でした。

一定の時間ごとに、放送、発表される、死亡者の名前と立ち入り禁止エリア。

これも、読者を小説の中にぐっと押し込んでくれる。

 

先だって島に住んでた人の生活はどうなったんだろうとか、もはや関係ない。

だって、どんどんどんどん、さくさくと物語(殺し合い)は進んでいくんだもん。

もう、ページをめくる手が止まりません。

首が痛くなってきた。

腕がだるくなってきた。

スルメばっかり食べてたから、部屋がスルメ臭くなってきた。

 

小説でも映画でも、時として前半と後半が違う感じになってしまう作品に出会います。

 

例えば、千と千尋で、湯婆婆に会いに、湖上の電車で湯屋を出てしまう。

そこでとたんに、興味を無くしました。ずっと、湯屋で物語を続けていて欲しかった。

小説ですと、ちょっと古いけれど、

遠い海から来たCoo景山民夫さんの名作です

前半の叙情豊かな物語と後半の核実験やらの血なまぐさい話になってしまって、

あぁあ!ってなってしまった。

なんで、ずっときれいな海での話にしといてくれないのさ!

 

この作品は、一種のクローズドサークルなので、その心配はなく安心でした。

 

ということは、国家指令同様、ずっと殺し合いなんだな、これが。

しかも狭い島の中。

いやぁ、設定勝ちでしょ。

潜水艦映画に駄作なしと言われるように、

クローズした途端名作生まれる予感アリだもんね。

 

しかし、

設定や前進するストーリーは、素晴らしいものの

地理や建物などの状況の描写(説明)がもう少しこなれていれば、

また、シンプルな口語体で読みやすいのですが、

もう少し、文章に、なにか魅力が加われば、

作品自体の

『格』や『品』

につながったのでは、と思います。

 

一方、それはないものねだりであって、

このストーリーにマッチした文章だとも正直思います。

 

登場人物が、どうのこうのというのは、今日読み終えておいて、

僕の脳みその記憶力が殊のほか性能悪く、

もうほとんど覚えてないので、割愛しますが、(っていうか覚えてない)

 

登場人物の設定が非常にわかりやすく、区別がつきやすい。

精神的に発展途上の中学生なら、もっと似通っていてもよさそうだけど、

主要な登場人物のキャラ設定は秀逸。

 

殺し合いの中に、ふと、本来の人間性や情愛を垣間見る暖かなシーンがこれまた秀逸。

 

いわゆる、対比の素晴らしさですね。

 

殺人鬼にも五分の魂ってね。

 

中学生のほのかな恋心っていうのも、非常にいい。品がいい。

 

作者の、そしてこの小説の持っている『前進力』とでも言おうか、

非常に素晴らしい推進力に、身をゆだねました。

 

小説に身を委ねる

 

なんて素敵なことか・・・・

 

ラスト、少し、ぼやかして、続編もありえると思いましたが、

 

ラストの、

盗作だった、いやはや。

ってなんですか?どなたか教えてください。

 

作者の高見広春氏はこの1作で、文壇から姿を消しています。

 

 

虎舞竜のロード『第〇章』ってのもありましたが、

part2、part3で稼げたんではないでしょうか?

あまり、続けるのも愚の骨頂ですが。

 

下世話ですが、映画化され、億単位のお金が入ったことと思います。

そもそも、ものすごく文壇で叩かれた作品でしたので、やる気喪失したのでしょうか?

 

しかし、作家って、書く事こそ命だと思うんです。

 

面白い後日談でも、書いてくれないでしょうか?

 

期待してます。

 

 

 

 

 

 

追伸

文庫版のあとがきは、まさに蛇足です。

本作読了後すぐには、

読まないほうがいいです。僕にとっては、作品の素晴らしい読後感が損なわれました。

 

 

 2016.12.12                         続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近の読書

NC3

いわゆる三代目ロードスターを購入して、

人生最後のマニュアルを楽しむんだといきがって始めたこのサイト。

しかし、ロードスターはあまり出てこない。

クラシックの活動は相変わらずだが、コンサートにも、足が遠い。

 

今は読書三昧の日々。

久しぶりの本に囲まれた生活。

テレビよりも面白い。

当たり前だ!

サラリーマン時代の、通勤往復2時間の時間を惜しんで

活字を読みふけった頃から数十年。

じゃなかった、十数年。

 

今回、秋の夜長に決意した読書生活が始まった。

 

本屋に行くと、当然ながら、数え切れない程の本がある。

 

 

いつも思う、

 

死ぬまでにどれだけの本が読めるだろう。

年間100冊でも、100歳で、一万冊。

 

おぉ、結構読むなぁ!

でもそんな読めない。

 

これだけクラシックが好きでも、独逸、墺太利に行けてない。

バイロイトだってもちろん行ったことない。

ましてや、日本人、しかも神奈川に住んでて、富士山にも登ってない。

東京タワーだって登ってない。

わんこそばだってたべたことない。

岩泉だって行ってみたいし、

備前焼の備前にも行ってみたい。

人生、意外と長いようで長くない。

いろいろ出来てるようで何も出来てない。

 

本ぐらい、失敗なくいい本に出会いたい。

 

いい本もあれば、悪い本・・・・

悪い本というのはないかな・・・

感動できない本。というのはあるだろう。

できれば限られた、出会える本とは、

すべて感動を共有したいもの。

 

 

本を読むの(選ぶの)に参考にするブログがたくさんある。

うちのひとつ、

 

『読書は死ぬまでの暇つぶし』

 

内容もさる事ながら、なんと素晴らしいタイトルだろう。

 

『そのとうり!!』と思ってしまう。  

 

 喝采。

 

『読書は死ぬまでの暇つぶし』ってことはだ、

 

人生もまた、暇つぶしなわけだ!!

 

ブラボー!!

 

 

 

 

10月から読み始めた本を、忘れないように書いておこう。

 

スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)

スロウハイツの神様(下) (講談社文庫)

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)

カラフル (文春文庫)
出口のない海 (講談社文庫)
流星ワゴン (講談社文庫)
凍りのくじら (講談社文庫)
ゼロの焦点 (新潮文庫)
名探偵に薔薇を (創元推理文庫)
偉大なる、しゅららぼん (集英社文庫)
4TEEN (新潮文庫)
本能寺〈上〉 (角川文庫)
 
一番良かったのは、
 
信長の棺の上巻
 
名探偵に薔薇を
 
 
プリンセストヨトミ
 
このくらいでしょうか。
 
今度から、一冊づつ忘れないように書き留めることにします。
すぐ忘れちゃうから。
 
 
2016.12.12                           続く
 
 
 
 

 

諏訪内晶子素晴らしい! チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35 ヴァイオリン:諏訪内晶子 ユーリ・テミルカーノフ指揮 サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団 2016年5月30日 サントリーホール

 

2016年5月30日 サントリーホール

 

ユーリ・テミルカーノフ指揮 サンクトペテルブルグフィルハーモニー交響楽団

 

チャイコフスキー : ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35

ショスタコーヴィチ交響曲第5番 ニ短調 op.47

 

指揮:ユーリ・テミルカーノフ
ヴァイオリン:諏訪内晶子

 

 

正直、プログラム見て序曲欲しいなと思いました。

 

結論、必要なかったです。

 

結果、冒頭なのにすでに蛇足でした。      ちょっと解釈難しい。

 

序曲が欲しいと思ったことが蛇足。

 

 

悲しいかな、ムラヴィンスキー指揮では聴けなかったものの、

20年ほど前にこの指揮者とオケのコンビで、チャイコフスキーの5番を聴いている。

 

・・・・・・感想・・・・・可もなく不可もなく

 

解釈に山や谷がなく、少し寂しかった。

 

・・・・ですから、今回の、このプログラム、

 

に、

 

2万円を払う勇気は、いささか躊躇したのを告白する。

 

昨年の、諏訪内さんとフィンランド放送響とのシベリウスの名演が、心に残り、

今回チャイコフスキーでまたあの感動が味わえたらというのが本心。

 

ショスタコーヴィチの5番は、おまけ。

 

今回残念なことに、テレビの収録も本格的な音源の収録もなかったようだが、

コンチェルトが始まって感じたのは、

聴衆の集中力が肌で感じ取れること。

 

1万オーバーのコンサート会場で感じられることだが、

元を取らなきゃと感じているのか、

はてさて、たかがクラシックコンサートに1万、2万と払える御仁は、

そもそも、礼儀正しのか、

在京オケの時のザワザワ感とは、少し違う気がする。

 

チャイコフスキー冒頭、オケの前奏のなんとも渋い音質。

そして一体感!

 

素晴らしい。

そして独奏が入って、

 

デュナーミクだが、アゴーギクだか知らんが、

ヴァイオリンの序奏から主題に入るその一音。

 

もう、うっとり!!

 

どのソリストも気を遣う、場所だろうが、次元が違うか?

 

千住真理子さんの同曲も聴いたけど、格が違う。

 

宇野功芳が以前、全盛期の諏訪内晶子はホールの磁場を変えた。

と言っていたが、なんとなく、理解できた。

 

 

今回サントリーホールのRB席の前から2番目だったもので、

 

諏訪内晶子さんが、指揮のテミルカーノフを見るたびに、

こっちを見てるような気がして、

 

いや、明らかに自分を見てるような気がして、

 

 

 

まさに、

 

 諏訪内晶子

独り占め!

 

 

指揮者の体が、ヴァイオリンをさえぎってしまって、

ソロの音が、若干直接音になったり、間接音になったりはするものの、

非常にいい席だった。

 

ヴァイオリニストは、体揺らすからどこに座っても同じような状況が

起こりうると考えられる。と思うことにした。

 

1楽章は、曲間ながら拍手が出てもおかしくないような演奏。

2楽章、3楽章は、もう終わっちゃうの???

 

って感じたくらい、

 

この場に、ずっと浸っていたいと思わせた。

 

途中クラリネットの1番奏者のなんとうまいこと。

木管全体的に相当なレベルではあるが、クラリネットの男性、ずば抜けていた。

 

コンチェルトは、ファーストヴァイオリンが13人で6.5型っていうのかな?

コントラバスは、7本。

 

シンフォニーよりは、当然小型なものの、ひとりひとりの体が大きいのか、

舞台がえらく窮屈に見えた。

 

淡い紫のドレスの諏訪内さんは、何度も呼び出され、

拍手の音もひときわ大きく、名演だったことが証明された。

 

いやぁ、夢のような時間でした。

 

 

・・・・オケの状態が非常によろしく、諏訪内さんも弾きやすそうでした。

 

 

ソリストのアンコールがほしかったけど、まぁまぁ、しょうがないでしょう。

 

諏訪内さんオケの人からの評判いいのかなぁ。弾いてて楽しそうでした。

 

きれいで、楽器が上手で、人柄もいい・・・・

 

うーーーん。

 

困った困った。

 

 

 

ショスタコーヴィチの5番は、正攻法の名演でした。

金管が、舞台右はじで、(自分の足元奥に布陣のため)

間接音でしか聞けなかったのは、

少々残念ではあったが、ド迫力の安定した名演でした。

 

出色は、アンコールのエルガーエニグマからの『ニムロッド』

出だしの和音が、無から形成される今まさにその瞬間。

 

なんて書けばいいのか、

 

空気が音に変わる瞬間が、見えた!

 

とでもいうべきか?

 

お国もの2曲の後になぜにエルガーとも思いましたが、

演奏は素晴らしかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやいや、よかったよかった。

 

満足満足。

 

 

2015.5.31                     続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オバマ大統領・・・よく来た!!

オバマ

 

 

人類史上初の原爆投下から数えて71年。

アメリカの大統領が、広島の地にやってきました。

原爆投下により一瞬で、非戦闘員を含む14万人

 

 

日本人の命を奪った国の親玉

やってきました。


びっくりです。

 

正直、よく来たね・・・


・・・・

 
僕の生まれた、昭和40年代。

親に連れて行ってもらった新宿のガード下に、軍服を着て

背中に血の付いたような、しかもたくさんの署名のある日の丸を掲げて、

戦争で失われたと思われる、 ひざから下を皆の目にさらしていた軍人さんがいた。

椅子に座り、お金を恵んでもらうための缶が1つ ぽつんと置いてあった。

カセットで軍歌が聞けるわけでもなく、

旧軍人さんは喋りもしない。

そもそも音がしない。


子どもながらに、

 


怖かった

 


のを覚えています。昭和40年代・・・・・・・・・まだ多少の戦後が残っていた。


 
 

平成の、

今でこそ戦後の話をしても、いつの戦争の『戦後』だと断りを

入れねばならないくらいの幸せな世の中。

しかしまだまだ、今現在も原爆の影響で苦しんでいる人たちがいる現実・・・・・

数年前、広島の原爆ドームに行った際タクシーの運転手さんとの会話で、

いまだに、隣のおじいちゃんは原爆の影響が残り、つらそうにしていると聞き、

 

物見遊山の広島見学で原爆資料館を見て涙を流し、

日本人づらしていた自分に腹を立てたのを思い出す。


 
アメリカの若い世代はともかく、

いまだに戦争終結のための原爆投下は正しかったというのが米国の大半の世論である。

 

何故?    なにゆえと読む

 

原爆投下したからこそ、戦争が終わり、無駄な殺生をまぬがれたということらしい。

(この部分、私は、アメリカ国民でないので非常に表現しづらい・・・・というか、できない)
 
オバマ広島来訪にあたり、原爆資料館の館長さんが、

大統領には被爆した学生たちの気持ちを感じてもらいたいと語っていた。

 

なるほど!!

 

何人死んだ!

 

じゃないんだ!!

 

誰が苦しんだかが??

 

重要なんだ!!

 

改めてみれば当たり前のことも、こう聞くと感慨深い。

 

戦闘員も人の子である。戦死すれば親や子、その悲しみは、はかり知れない。

しかし、非戦闘員いわゆる

女子供・おんなこども・

は犠牲者になってはならない。

 

そう!!!

  

戦争の最低限のルールとして、湾岸戦争でも、ベトナム戦争でも、
 
これは当たり前のことだろう。


・・・・・・それが、たとえ、

71年前であったにしても・・・・

 

 

 


 
そういった、恨みつらみがあるにせよ、
 
オバマさん、本当によく来てくれた。
 
素晴らしいことだと思う。
 
しかし、もっと素晴らしいと感じたのは、

我が国日本の世論調査での、オバマ大統領に『謝罪』してほしい。

とした人が、全体の14パーセントであったこと ・・・・これにはびっくりした。
 
謝罪よりも、大切なことは、来てもらうことだったのだ。

 

高貴なそして、和を貴しとする

我が日本人の国民性に感動する。

 

 
中国の新聞には、日本だけが悲劇のヒロインになろうとしている。

などと書かれたようだ。

さもありなんだ。さすが中国だ。

韓国に関しては、大統領の口から『韓国』との言葉が上ったことから、

いささか軟調であった。
 
真珠湾攻撃靖国問題慰安婦問題、北方領土竹島領土問題・・・・・・
 
解決すべき、日本の外交問題は山ほどあります。
 
日本の歴史を背負って一人の政治家が謝罪するというのは恐れ多くてできなかろうし、

独断で謝罪してもらってもそれはそれで困ります。

しかし、日本国民の多くが感じている

 

『謝罪でなく、広島に来てくれればいいんだ! 』と

 

こういった優しく素晴らしい気持ちがあれば、

すぐにとは言わないまでも、何かのカンフル剤にでも!と思ってしまう。

 

 

自分だけよければ、を地で行く中国には

当分、反面教師でいてもらえばいい。

 


 
何しろ、原爆投下国の大統領が71年ぶりに広島を訪問した事実。

日本の膠着しているアジア外交に一石を投じるオバマ大統領の壮挙であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何しろ、老婆心ながら・・・・何も起きなくてよかった。と思う。

発砲とかテロとかあったらほんと、大変だって・・・・・

 

 

 

 

2015.5.31                        続く

ロードスターにオーディオがついた。

最近は、クラシックコンサート見聞録になってしまったブログですが、

年末に、ロードスターにオーディオつけました。

 

2DINナビ。

ナビという名前の最高の音質と誉れ高い日本製ピュアオーディオ2DIN。

そして、ドイツ人のスピーカー。

なかなかいい音で鳴ってます。

しかし、わかっていたとはいえロードスターは、音楽聴く車じゃないな!!

しかし、旅行の時には、さすがにナビは役に立ちます。

 

取り付けてからまだ一か月経たないので、まだまだエージング途中ですが、

低速運転中は非常にいい音です。

高速だと、相当大きい音でないと、ロードノイズに負けてしまいます。

 

写真と商品紹介は、また後日。

ワレリー・ゲルギエフ指揮               ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団                         2015.12.2 in サントリーホール

 

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赤坂は、クリスマスです。

 

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良かった!

確かに良かった!

 

しかし、よかった度合いが、今までと違う!

 

 

スポーツのような、さっぱりした良かったではなく、

あくまで芸術の秋の、ちょっと高尚な芸術を見た後の

スポーツの後の爽快感とは異なる、さっぱりというよりも少し重みのある満足感。

 

 

・・・そんな感じ。

 

二日後に、じわじわとくるだろう幸せ感。

それを、人呼んで、更年期的感動体験という。

 

なんでだろう。

 

・・・・・オケ、がならない。

『オケが、がならない』

 

鳴らないではなく、

 

がならない!

 

ネガティブに言うと、音圧が少し低い。

 

音圧好きにとっては、不安要素たっぷり。

 

しかし、金管の重量感たっぷりのサウンドは十分聴こえてくる。

 

いや、響いてくる!

 

木管も上手!!

弦は、日本最終公演疲れ気味だろうに・・・でも、超一流だ!

 

席はS席、26.000円

 

2階、LC 7列7番

 

悪い席ではない

 

自分史上初の2万超え!

コバケン日フィルのチャイ5が、4回も聴ける!

 

そっちのほうがいいかなぁ?

 

 

筆がすすまない。

 

何故だろう?

 

ゲルギエフというカリスマに期待しすぎたか?

 

テレビ放映がなく、気合い入って無かったか?

 

どこかでなにか大きな仕掛けが来るものと思っていたが、

仕掛けはなく

 

あまりにオードソックスな演奏だった。

 

そして立派な演奏だった。

しかし感動につながらなかった。

冷めた演奏でもなかった。

 

まだまだ、ミュンヘンフィルを意のままに操れないということか?

 

 

ブルックナー金管の響き!!

まさに、ドイツのオケを思わせる、しっかりした、充実した響き。

低音がしっかり土台を築き、その上に、トランペットが流麗に乗っかる。

 

木管も、各々がソリストであり、最高の表現者であり、最高の音色を伴って

楽しませてくれた。

 

弦に関しては、言うことなし。(もちろん賛辞)

 

爆演が好きだから、しっくりこなかったのか?

 

否な表現になってしまうが、

 

それなりのお金をかけて、部屋にもお金をかけて、

結構いい音で、CDが聴ける状態。

 

目指す音は、ホールでの実演の音。

ライブの緊張感。

 

そんな音を目指して、オーディオにもお金を使ってきた。

 

それなりの音が、いつでも聴ける状態で生活している。

 

 

よほどのことがないと、感動しなくなっているのかもしれない。

 

しかし、リントゥのシベリウスやコバケンの幻想には、心から感動する。

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座席の好みだったり、自分の体調だったり、前後左右のお客さんのマナーだったり・・

 

ブルックナーが最後鳴り終わる前に、ブラボーかけた人間がいて、

みんなが嫌な思いをしたと思う。

 

最後の和音が鳴って、ブラボーが入って、一瞬拍手も入ったが、また静寂・・・

 

そのあとの本当の拍手。

 

一人のために、2000人の人間が嫌な思いをした。

 

 

 

そういう人、ことも含めて、最高の感動を享受できる機会の場は、

そうもないのかもしれない。

 

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残された、指揮台とブルックナー4番の譜面

 

 

ミュンヘンフィルだから・・・

ベルリンフィルだから・・・

ドレスデンシュタッーツカペレだから・・・・

 

そんなの無いんだな!!

 

26.000円のミュンヘンゲルギエフよりも

5.300円の日フィル小林研一郎のほうが

感動した事実は、僕の中に確実に残った。

 

名声でも、評判でもない、真実を見抜く目を持ちたいと思った。

 

高い授業料だけど、いい勉強になった。

 

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さようなら、ゲルギエフ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

追伸:バレンボイムブルックナーも買っちゃったんだよな!

二の舞にならないことを、願います。

次は、1月の、スクロバチェフスキのブルックナー8番に期待!

自分の第九もあるんだけどね!

演奏会情報 - 宮前フィルホームページ!

 

 

 

続く                            2015.12.2