『不毛地帯』 第1巻 山崎豊子

白い巨塔』以来の山崎豊子作品。

 

感動は約束されているものの、

書く作品書く作品、どれも全5巻などと、

大長編のため、読み始めるには、

 

度胸と時間と体力が必要。

 

以前のフジテレビ唐沢寿明主演のドラマを見ていたので、

大体のイメージは知っている。(つもり)

ドラマのイメージは、

 

シベリア抑留での過酷な重労働

松重豊の演技(FAXのシーンが、ものすごい印象に残ってる)

③飛行機のこと

こんな感じ。視聴率あまり良くなかったらしいですね。

いいドラマ作品だったと思います。

 

小説の本作品は、

 

不毛地帯 (第1巻) (新潮文庫 (や-5-40))
 
 

1巻として、

大本営参謀時代、

シベリア抑留時代

近畿商事時代

の3時代を、交錯させている。

 

大本営参謀時代は、軍の役職が盛んに出てきて、

非常に読み進めづらい。時間がかかる。

東京裁判が出てきたのにはびっくりした。

 

シベリア抑留時代は、やはり辛い、負の時代なので

読んでいて辛い。でも、面白い。

シベリア民主主義のくだりは、苦手。

これだけ作者が苦しめておいて、シベリアからの帰国の

エピソードが、さっぱりしていたので、たまげた。

 

近畿商事に関しては、綿糸相場の実態が詳しく描写されるが、

勉強したこともなく、経験ももちろんないので、わかりづらい。

がしかし、楽しく読ませてくれます。

 

自分の意志ではどうにもならない、

時代に翻弄される主人公を描いています。

 

この大前提の前に、

 

もがき苦しむ主人公の壱岐正。

 

山崎豊子が太い筆致で、

一筆書きのように、

作品に魂を、吹き込んでいます。

 

どこが良いとかどこが楽しいとかじゃなくて、

 

こればっかりは、読まないと味わえません。

 

全てにリアルさを感じるということが、

作者特有の、『綿密な取材』なのだろう。

 

白い巨塔では、専門医に質問できるくらい医学を勉強したそうだ。

不毛地帯では、隠岐正のモデルと称される

伊藤忠商事元会長の瀬島龍三氏に取材を申し込むも

再三再四断られたそうだ。

しかし、山﨑の根気に負けて、

100時間にも及ぶインタビューを行ったそうである。

 

 

作家魂ここにあり

 

 

すばらしい。

 

 

 

 

 

 

 

今から、読み終えた時の感動と虚脱感が予想される。

この感動も、あと4巻残すのみ。

 

 

 

 

続く                             2017.1.18

『小太郎の左腕』 和田 竜

 

あっぱれ!

 

あっぱれ!

 

いやぁ!

 あっぱれじゃ!!

 

ここまで楽しませてくれたら、

文句ない!!

 

軽いという人は言えばいい。

 

しかし、人をしっかり描くことで、

作風は軽めではあるが、(サクサク読めるという点に関して)

 

人、男、誇り、けじめ・・・

 

などと、根底に有るテーマは、奥深い。

 

なおかつ、しっかり伝わってきます。

 

こういう作品が、時代・歴史小説を盛り上げて行って

参入壁が高いと言われる歴史小説の書き手が、

増えて行ってくれたらいいなぁ!!!

 

小太郎の左腕 (小学館文庫 わ 10-3)

小太郎の左腕
和田竜

 

なんたって、

 

主人公は『半右衛門』です。

小太郎ではありません。←きっぱり

 

いくら、戦国の世の武士といってもこんなに男らしく賢い男も少ないでしょう。

 

女性が読んだら、イチコロです。

 

そこのツジツマを合わせるために、たまに、作者が出てきて、

その頃の男というのは・・・・・

と、サラっと解釈をたれます。別に嫌いじゃないです。

 

 

今の世の中は、

 

言葉で言ってもわからない!ということがあまりに多い。

 

言わなくても察しろ!!なんて無理。

 

この時代の男たちは、

 

『言わずもがな』

 

で、会話したのかもしれない。

 

よく『男の背中』と言いますが、

 

語らずに、体現せよということか!

 

 

ほぼ、男性だけで話が進められます。

(重要な女性が一人だけいますけど)

 

全ての、男が魅力的。

 

悪役でさえも魅力的。

 

男を書かせたら、当代随一ですね。

 

 

 いやぁ、傑作!傑作!

 

 

 

まだ読んでない、村上海賊 期待しちゃいます!!

 

 

 

 

2017.1.16                        続く

 

 

 

 

 

『きことわ』 朝吹真理子

なぜこの本を手にとったかというと、

 

2015年将棋の名人戦

羽生名人3勝、行方挑戦者1勝 第73期将棋名人戦七番勝負第4局

朝日新聞記事へ朝吹真理子さんの寄稿があり、

羽生棋士に対する描写に痛く感動し、

その記事の切り抜きを、未だにトイレに貼ってるくらい

感銘を受けた文章だったから。

 

なのです。

 

けっして、朝吹真理子さんが可愛いからではありません。←ちょっとはある

 

 

本作は、

なんとも、水彩画で、尚且つ印象派で、

心にトゲの立たない描写、

ふんわりとした時の流れ、

逗子や葉山などとイメージの良い土地で、

登場人物も、面白いように限定され、

夢かうつつかわからないようなシーンが、永遠に続く。

 

このまま全十巻くらいまで引っ張れるんじゃないのかという感じ。

 

作中、心臓疾患で亡くなった母春子のことに関しても、

読者として何の感情もわかない。

ドキドキもワクワクもない。 

起承転結すら危なっかしい。

 

 

 

純文学の定義ってなんだろう?

 

 

(通俗文学と区別して)純粋な芸術性を目的として創作される文芸作品。

 

こんなことが書いてありました。

 

通俗文学って・・・・すごい言われ方だな、しかし。

ミステリーはそうだよね。

現実社会では、ありえないことが普通に作品として成り立つから。

通俗文学というより、娯楽文学とか、大衆文学とも言うのかな。

ってことは、歴史モノは、そこに入らないな。

だから、歴史小説というジャンルがあるのだろう。

 

たいして、純文学。

たしかに、『きことわ』題名からして、純文学っぽい。

主人公が、貴子と永遠子だから・・・・きことわ

なんとも芸術だ。  ←半分馬鹿にしてる

 

そもそも、タイトルを、

『貴子と永遠子』にした瞬間、通俗文学になる恐れがある。

 

 

 

きことわ (新潮文庫)
きことわ
朝吹真理子
 
 

 

確かに、作中ありえないことは起きないし、

文章や表現は果てしなく上品で綺麗。

 

 

 

だから純文学。

 

 

かと言って、深い感動もない。

 

 

 

ベートーヴェンを演奏する小澤征爾のようだ。

さらっと綺麗で、オーケストラは超一流で文句ない。

でも、裃(かみしも)脱いでもがくとか、汗水たらして、奮闘するとかない。

カラヤンもそうだった。

 

たいして、フルトヴェングラーとか、オーケストラが合ってないことなんて

しょっちゅう。

第九の最後なんて、ハチャメチャ。でも感動する。 

いま日本で、それに近い感動経験をさせてくれるのは、

小林研一郎くらいのものか。

ハンヌ・リントゥと諏訪内晶子もいた! 

 

 

 

善し悪しでなく、

 

好き嫌い  なのだ。

 

自分はそういうのが好き!  ってただそれだけ。

 

 

 

でも、羽生名人を描写した文章が未だに忘れられない。

魂に呼びかけてくれるような作品をこの人は書ける気がする。

 

 

 

 

 

読後感は悪くないし、腹も立たない、

こういう雰囲気を持った、ゆったりした作品です。

 

と、そういうこと。

 

 

続く                         2017.1.14

 

『超高速!参勤交代』 土橋章宏

実は、相当な傑作です。

 

軽いノリの映画化作品や、

超高速!参勤交代』という輪をかけてノリの軽いタイトルで、

得していることと損していることがあるのでは無いかと思います。

 

得してるのは、もともと脚本として城戸賞を取ってますので、

作品として優れているし、

その映画化により何よりも認知度が高いということ。

映画の続編もありますしね。

 

損してるのは、作品的に、結構真面目に書き上げているのに、

イメージから来る軽さに負けてしまってやしないかということ。

 

僕も、軽く読み始めたのですが、

読んでる最中に、山本周五郎の傑作『樅ノ木は残った』を連想しました。

 

それってすごいよな。

 

伊達安芸、酒井雅楽頭、原田甲斐だぜ!おい!

 

何しろ、人物描写が深く、共感できる点が、素晴らしいです。

 

 

一般的に主人公だと思われる、当主政熱内藤 政醇(まさあつ)。

 

真の主人公、雲隠段蔵。

 

経理部長こと城代家老、相馬兼続。

 

そして、個性豊かな家臣たち。

 

登場場面は少ないものの、非常に大切な役目のお咲。

 

 

そして、悪の権化、松平信祝(のぶとき)

 

段蔵の敵役であったり、北の内藤の殿様だったり、伊達の殿様や、

妹の琴、最期に、話をグッと高尚にしてくれる将軍徳川吉宗

 

 

ひとりひとりに、深く愛情もって書いてくれているおかげで、

読む側としても、他人事ではない感じになります。

 

領主、当主、殿様が、領民と仲良く敬われてるっていう設定は、

読んでてほろっとさせる、大事な薬なんだろうな。

 

流石に段蔵が、死んでしまった時には、一瞬『?』となりました。

主人公だと思っていたので、忍者だし、生き返るかなと思いました。

何しろ、忍者段蔵の心の変遷の描写には感動しました。

大切な役を、さっと殺してしまうのは、脚本家として一流なのでしょう。

 

 

それがあってか、お咲が、なんとか生き延びて、

幸せに暮らしただろう後日談には、心底ほっとしました。

 

超高速! 参勤交代 (講談社文庫)
超高速! 参勤交代
土橋章宏

 

 

仲間って?

友情って?

やさしさって?

ふるさとって?

 

 

人生で大切な、普遍的な問いに作者は、真剣に筆を割いてくれました。

そういう意味では、先日読んだ、『さぶ』に通じるものがあります。

 

 

 

盛り上がりに盛り上がった、最後の決戦途中で、

上手に物語を締めくくってくれたら、いいなぁと思いながら読んでましたが、

 

六日目をあっさり短いページで、徳川吉宗との絡みで、ウルッとさせ、

4ページにも満たない終章が蛇足になるのだけは勘弁してよ!

 

と読みすすめると、

 

さらっとだけれども、

作者の愛のいっぱい詰まったラスト4ページにしてくれました。

 

読後感最高!!!

 

またまた、大好きな本が増えました。

リターンズも面白いといいけど、、、

 

 

 

 

 

 

 

続く                            2017.1.13

 

 

 

追伸

もう少し、時代考証して、タイトルをもっともらしいものに変えたら、

不朽の名作に仲間入りするのではないでしょうか。

藤沢周平ではないけど『密謀』とかね。

それじゃぁ、儲からないんだろうな。

そのくらい、楽しく、感動させていただきました。合掌。

 

 

 

『清洲会議』 三谷幸喜

テレビで、本作品の映画を見た時に、場面転換の編集が

どうしても馴染めずに嫌いな映画のひとつでした。

清洲会議

 

脚本?小説化?の本を書店で見つけて購入。

読んでみました。

なるほど、なるほど、全部口語体。

 

 

 

って、

 

ト書きのない、

 

脚本じゃん!!

 

 

 

清須会議
 

 

 

いい商売してんな!

 

しかし、

 

 

三谷幸喜

さすが、

読ませてくれました。

 

戦国時代の信長から秀吉にかけての小説ならば、

そんな会議が開かれたことは、少なくとも一言ぐらい載ってるはず。

 

清洲会議、ただそれだけで、小説や、映画になるとは、

いやはや、

素晴らしい。

 

 

 

(目の付け所)

 

が違う。

 

 

 

だから儲かる。

 

 

 

司馬遼太郎の小説じゃぁないんだから、

 

コロコロと軽くていいんじゃないの!!

硬いこと抜きにして、

戦国時代とか、歴史自体に

興味持ってもらうことが大事なんじゃないの!!!

 

 

 

っていうことで、これはこれでありだと思います。

 

硬いこと抜きに、私は、楽しめました。

 

 

 

 

 

 

まぁ、しかし、サクサク読めます。

そこは特筆すべき点です。

 

 

 

続く                         2017.1.12

 

 読後に映画を鑑賞したら、結構楽しめました。

138分ちょっと長いけど、良かったです。

 

 

 

『おめでとう』 川上弘美

『蛇を踏む』で、芥川賞を受賞した時から、好き。

でも、途中で投げ出したか、最後適当にパラパラ読みしたような気がする。

なんたって、タイトルが好きだった。

 

『蛇を踏む』って・・・

 

ちょとあんた!

 

黒澤の『虎の尾を踏む・・・・』ってあったけどね。

 

その後、映画にもなった、『センセイの鞄

 

これは良かった。ほのぼのとして、温かい作品だったと覚えている。

 

で、今回の

『おめでとう』

 

おめでとう (新潮文庫)
おめでとう
川上弘美

 

いいですねぇ、このテンポ。

独特な言い回し。

端正な文章。

登場人物が、常に二人。

すっと話に入っていける。

これって大事だと思うんです。

 

なにげない、生活の中で、起こる出来事。

いつもの仕事の中での、悩み。

毎度毎度、失敗に終わる、私の恋愛事情。

 

舞台は短編ごとに変わるものの、扱う題材は、身近なこんなことやあんなこと。

 

そんなたわいもないことが、こんな小説になるんですね。

 

料理は、シェフによって

 

映画は、脚本によって

 

音楽は、指揮者によって

 

小説は、人間によって・・・・

 

 

 

 

ほのぼのとしたいい小説です。

 

 

 

 

 

今までの本と違って、

読んでいて、いろいろなイメージが沸いてきました。

そこは、読んでいて、びっくりしたことの一つでした。

 

 

 

 

 

純文学もいいなぁ

 

 

 

 

 

続く                          2017.1.11

 

 

 

追伸:

解説の池田澄子さんが素晴らしい。ここで解説褒めるのもなんですが、

この人の作品読みたいと思ったら俳人の方だそうで、あら残念。

感じてたことを、上手に優しく表現してくれています。

こういう、後説(解説)は、大歓迎!! 

 

 

『さぶ』 山本周五郎

最近、

あれだけ好きだった、

ミステリーに食指が全くと言っていいほど動かない。

 

当たり外れが多いからか。

 

しかし、

歴史物は違う。

感動が必ず待っている。

否、

ただ好きなだけなのであろう。 うん。 多分そうだ。

 

敦盛の云うところの年齢になって読むには恥ずかしいほどの有名作品。

 

 

さぶ (新潮文庫)
 
 

『読んで無かったんかい!!』

 

山本周五郎さんの作品は、

 

10年ほど前に、『樅ノ木は残った』で、

 

とてつもない感動を味あわせてくれたのが、忘れもしない。

 

 

 

いつの時代の作家かというと、

僕が生まれてすぐに死んでしまった、作家さんです。

古い人です。

生き様を調べてみると、最後の最後の文士のような方だったとか。

 

 

さて、

『さぶ』ですが、

当方、現在、隠居の身につき、読書三昧ですが、

とは言いながらも、

休憩一回挟んで、一日で一気読みって、いかほどの魅力でしょうか?

確かに、新田次郎武田信玄』の後なので、

(この作品も、読みづらいということはない)

時とともに、名前が変わったりしないし、

苗字+役職名+名前 のようにやたらややこしくないし。

地名がわからないと、どこで合戦してるのかこんがらかるということもない。

(まぁ、そういうのが好きなんだけれどもね)

 

舞台背景、時代的には、江戸後期から明治初期でしょうか?

確かに、

古い言い廻しや、表現、

古めかしい言葉、

今では全く使わなくなってしまった物の名前など、

ちょっと慣れないと、戸惑うこともある。

それは、太宰だって、三島だって、夏目だってそうだ。

それに比べればまだいい。

日本語が生き物って証拠でもある。

 

しかし、スラスラと読めます。

歴史ものでなく時代物だからでしょう、

市井の生活主体に描かれているので、全く違和感がなく、

入り込んでいけます。

登場人物が少なく、

(最初は、出てくる人の名前が

ほとんどひらがなで2文字だったので区別つかなかった)

人物描写が深いので、非常にわかりやすい。

文章的に、誰が何を言ったのか、彼我の関係が、

明確なために、混んがらがらない。

場面転換も、はっきりしてるので、戸惑わない。

 

読みすすめていって、ましてや、栄二がこんなんことになるなんて、

という具合で、物語は進んでいきますが、

 

栄二の心の闇

そして、

周りを囲む人々の言葉、行動。

 

 

栄二の心の変遷

そして、

周りを囲む人々の言葉、行動の変移。

 

これが大家の筆なるものでしょうか。

 

特に、何も出てこないし、

何も起きない。

でてきたのは、台風と骨折と肩の筋肉くらいなもの。

ここまで描けるのですね。

素晴らしいです。

昭和の文豪ですね。

 

 

敢えて言うならば、

最後の、最後の、告白に関して、

 

 

もっとくどく、

山本周五郎さんの思いをぶつけてくれたらなぁって感じました。

 

 

じわじわとひたひたと

 

そんな感動ですので、さっぱりと終わるこれでいいのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人生最期に、『周五郎のさぶ 読んで無かったんだよ』ってならなくてよかったです。

 

 

 

 

2017.1.10                            続く                         

                      

 

 

 

『武田信玄』 風の巻、林の巻、火の巻、山の巻、全4巻 新田次郎

全4巻、三千ページ、新田次郎畢生の傑作。

 

少なくとも、学生の時に読んでおきたかった。

できるなら、歴史が好きになって、早いうちに読んでおきたかった。

 

大東亜戦争を終えて、20余年。

焼け野原が、次第に都会に変貌し

敗戦国という呼称が似合わなくなってきた頃の作品。

 

吉川、山岡、柴田、司馬、山本、池波、海音寺・・・・・順不同

 

こんな人たちとあいみまえて、新田次郎さんは執筆していたんですねぇ。

 

 

若かりし、新田次郎が、懇切丁寧に戦国時代を描ききりました。

もちろん武田信玄とその一派が主人公ですが、その当時がどうであったかの

時代背景が、説教臭くなく、説明過多に陥らずに、

すんなりとしみてきます。

なぜでしょうか?

・・・・淡々としてるからなのでしょうか。

そう、文章は、淡々として、男前。

箇条書きかと思える程の短文表記でもあります。

極力、作者の感情を排して史実をもとに書いているようです。

 

相当の読書好きで、歴史小説好きでないと

読みきれないほどのボリュームですが、

読んでみて、損は無いです。

いやそれは、日本語がおかしい。

損どころか、

 

感動しかありません。

 

男こうあるべき!の教科書です。

 

 

以下、各巻ごとに、読書メーターに書いた文から、

 

武田信玄 風の巻 (文春文庫)

多分、初新田次郎。信玄といえばこれというくらい有名なので、

素晴らしいことこの上ない。

登場人物多くて処理が大変。

地図でもあればもっと理解が深まるのにと巻末の地図見るも、

あまり役に立たない。湖衣姫、里美、三条氏と女性が印象深い。

しかし、誰よりも感情移入できたのは、板垣信方でした。

片腕として末永く働くものと思っていたら、なんと非業の死。

しかも、晴信の腕の中で。本当に悲しくなりました。

新田次郎さんは板垣信方大好きだったんでしょうね。

あとがきに、

昭和40年代、信玄の知名度はまだ低かったとのこと・・・びっくりです。

 

 

武田信玄 林の巻 (文春文庫)

満足満足!

あとがきに、読者から早く川中島を書けと注文があった。

と述べてますが、確かに、新田次郎も何かに取りつかれたような

筆致でグイグイと迫ってきます。

林の巻前半、少し、かったるい感じもしましたが、後半は、一気読みでした。

川中島の戦いが、5回もあったなんて知らなかったので、ちょっと感動。

今回の、巻末の川中島の地図は、非常に参考になって、理解をより深めてくれました。

村上義清というすごい武将も初めて知りました。

2巻目でこんなに盛り上がって、後どうするんだろう。

 

 

武田信玄 火の巻 (文春文庫)

 

火の巻読了。

ますますもって素晴らしい筆の勢い。文豪に失礼を承知で、

この作品を書きながら新田次郎という作家のもつ、物書きとしての

いわば実力がページを追うごとに増していると感じられます。

素晴らしい話が随所にちりばめられていますが、

飯富三郎兵衛兵部が義信逆心の際の一言が心に染みわたる。

『十年、五十年、百年、数百年後に、余の気持を洞察してくれる

御仁があるやもしれない。それでもいいと思ってる』気概のある漢って、

素晴らしい。

感動。

三増峠合戦後の勝頼の焚火の沙汰の際の跡部勝資(かつつぐ)の助言も、

素晴らしい。

 

武田信玄 山の巻 (文春文庫)

 

学生の時に読んでおきたかったです。

もっともっと、早く出会えていたらと後悔しきり。

戦国時代のHowto本として、足軽たちの食事、侍たちの組織、

乱破の組織などがよくわかりました。

意外と知らないで読んでたんですね、勉強になりました。

今まで、信長、秀吉、家康中心の読書でしたが、その他の有名武将たちの小説に

食指を広げることの意義を見出せました。

10日で読み終えてしまいましたが、

最後の方は、もったいないような気がしていました。

大好きな作家と大好きな武将を知ることができました。

感謝!感謝!

 

 

 

 

 

 

新田次郎、ほかの作品も読んでみよう!

 

 

続く                             2017.1.9

 

 

読書灯選び  パナソニック LEDデスクスタンドライト SQ-LD521S

 

 

今週は、『読書の時間を快適に』週間です。

 

 

ウソです。

 

というわけで、読書灯を購入しました。

 

いろいろググってみましたが、個人的使用感をなかなか調べられずに、

カカクコムで、目星をつけて、いざヨドバシ!!

 

冬休み年末ということもあって、大変な混雑。

早速、読書灯のコーナーへ 『いざ、出陣!!』

パナソニックコーナーで、夫婦のお客さんが、

商品を吟味してらっしゃるので他メーカー、および商品を見て廻ることに。

 

 

前日のこと。

 

半日かけた、webでの下調べとしては、パナソニック製が、性能、デザインともに優秀。

 

とは云って、秀逸というほどでもなさそう。

しかし、他に目立って優れたメーカーがなく、

パナソニックの中での、商品選びとなりました。

他メーカーの商品は、ヨドバシで実物見て考えるとする。

 

候補として、

 

LEDデスクスタンド SQ-LD540

8,000円ほど

ポジショニングの自由度が高そう。

レバー操作で集光・散光の切り替えが可能。

デザインがちょっと虫っぽい!!

というか、これ『虫』そのものだ!

ナナフシに見えてきた。

だんだん、バッタの足にも見えてきた。

 

 

次、

LEDデスクスタンド SQ-LD600

SQ-LD540 よりはポジション自由度狭そう。要現地確認。

集光散光の切り替えなし。

その他大まかな性能は、SQ-LD540 と同じ。

デザインが、秀逸。

読書灯らしくないのが、素晴らしい。

そういえば、webに出てた。

パナソニック製品、モスキートノイズが出るらしい。

電化製品だから、当然出るのだろうけど、要現地確認。

たぶん自分には関係なし。(12,000Hzも聞こえないくらいなので)

電気屋なので、モスキートノイズだらけだろうけれど・・・・・。

 

 

すこし、まとめてみよう。

 

デザインも大切だと痛感。

気になった商品は、どれも7,000円から9,000円ほど。

低価格は1,000円くらいからあるので、読書灯として高額商品であることは確か。

寝そべって読むので、広範囲を照らせるほうが良い。

白い明かりか赤い明かり、どちらがいいか迷う。

できたら、調色機能がついていたほうが良い。

 

 

で、店をうろうろ1時間。

他社製品で、食指が動いたのは、ひとつのみ。

コイズミ LEDスタンド  SCL012

なんと、調色機能付き

2色LEDなので、昼光色からタングステンの赤い明かりまでの色調整。

これは良い。

もちろん、調光機能もあります

一万円弱。

しかし、デザイン最悪。

コイズミ LEDスタンド ブラウン SCL013

円形のスタンド台座とコントローラー下部分がネジで止まっていて、

そのネジで角度を調整できるのですが、

ふつうそのデザインなら、内部に隠すでしょ!

というくらいのコスト優先のみたくれ不問のデザイン

しかも、脳科学者・澤口俊之先生ご推薦の、のぼりが嘘くさい。…却下

あとの商品は、完全デザイン重視の商品だと、2万とか5万もする。それはないなぁ。

 

よって、パナソニック一本選択。

 

LEDデスクスタンド SQ-LD540 の虫のようなデザインが、どうも好きになれない。

集光、散光もうたい文句ほどの効果なし。

ちょっとスタンドが軽い気がした。(バランスの問題か?)

7,980円

 

LEDデスクスタンド SQ-LD600デザインは最高、性能的にも問題なし。

アーム部にガタが来そうな予感あり。

8,680円

 

店頭で気に入ったダークホースのLEDデスクスタンド SQ-LD521は、

デザイン普通っぽいけど近未来的で悪くない。

一番いいのは、光源が点光源でないために長く、照らす範囲が、一番広いということ。

主要な特徴は、3製品とも変わらず。

何度も、3商品の間を、アライグマのように行き来し、

A4のカタログをもって、実際の光の見え方や光を照らす範囲を確認。

あまりにうろうろするので、ちょっと恥ずかしくなってきた。

これを選べば、間違いはなさそう。

しかし問題は値段。ちょっと高い。

 

 

 

悩む、

 

悩む、

 

 

悩む、

 

 

悩む、

 

 

 

悩む、

 

 

 

 

む、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悩む、む、

(わかったよ!しつこいよ!そんなには、悩んでないよ!)

『なやむ!』ってこんな漢字だったっけ

 

若きウェルテルが悩んだ結果、

LEDデスクスタンド SQ-LD521に決定。

 

実はこの商品、価格コムでの好評を確認するも、値段の記憶がなく

店頭表示が、11,480と結構お高い。

しかし、他のより3,000円ほどお高いけど、

〇広範囲を照らす魅力は他を圧倒。

〇デザインも優秀。

〇アーム部がしっかりしてる。

 

持っていたJCBの5,000円券二枚(10,000円換算)使えば、

現金の追い銭は1,500円弱だし。

価格コム最安値とヨドバシ店頭価格の差が、他二機種もほぼなかったし

この機種に限って、

ヨドバシ11,500円、価格コムだと8,000円とかはないだろうと予想。

 

様々な思いを、こめて、在庫の箱を手に取り、そして、色を確認し、

 

いざレジへ!

 

レジに行って、JCBの5,000円券二枚と現金1,500円出してたら、

なんと、バーコードでは、

 

7,980円と出るではありませんか!!!

税込みの、なんと  8,618円!!

イヤッホー!!

ありがとう、ヨドバシ!!

ありがとう店員さん!!

 

 

でも、5,000円のJCBの金券一枚を、お財布に戻しながらも、

 

新たに現金2,000円を追加する羽目になり、

 

追い銭が3,618円になる始末。

 

 

結局、

 

一番現金支払いが多いじゃんよ!!

 

 

 

なぜか、ちょっと心が不安定になる自分がそこにいました。

(すでに幽体離脱してる)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下商品説明

LEDデスクスタンド SQ-LD521

 ボディ色は、白と決めていたのですが、よくよく考え、

読書中に、ホワイト部分が邪魔になる気がして、

かつ、ブラックとシルバーのツートンカラーが、デザインとマッチして、

近未来感たっぷりで気に入ったので、シルバーに決定。

(もしかして、ツートンカラー、デザインとマッチ、近未来感たっぷりって、昭和表記??)

 

 

 

 

PTA推薦 (公社)日本PTA全国協議会 色温度6200Kと明るさで文字がくっきり読みやすいあかりが(公社)日本PTA全国協議会の推薦商品に認定されました。

とのことです。

 LED(昼光色6200k・Ra85)

・光源寿命40,000時間(光束維持率70%)

 

 

光源水平のまま、移動可能。

アームが二カ所動くので、結構高くまで光源が上がるのは、非常に良い。

 

 

鮮やかさが素晴らしい。

まぁ、読むの文庫本だけどね。

 

 

 

多重影のない光

LED特有の多重影のない光も実現。だそうです。

実感ないけど、気にならないってことは良いことです。

 

 

この写真が表すように、

広範囲を照らす実力は、この機種ならではだと思います。

 

・調光ボリューム付(100%~約20%)

とスペックに書いてますが、実際に確認すると5段階ですので、

100%、80%、60%、40%、20%だと予想されます。

 

 

 

・固有エネルギー消費効率:32.8 lm/W(427 lm・13W)

 

消費電力13ワットのようですね。

実際に我が家で図ると、

100%・・・13Wないし12W表示

80%・・・・10Wないし9W表示

60%・・・・7W表示

40%・・・・5Wもしくは 0W表示

20%・・・・0W     

 ※節電エコチェッカーでの実際の表示です。

 

13ないし12ということは、12.5Wであると予測。

5ないし0ということは、2.5Wであると予測。

(節電エコチェッカーの測定表示の実力が、5W以下が不得意なため)

しかし、20%の電力を使っていて0Wということはありえないから、

5Wないし0Wは4W、0Wを2Wと置き替える。

よって以下実験結果

 

100%・・・12.5W

80%・・・・9.5W

60%・・・・7W

40%・・・・4W

20%・・・・2W    

 

 となりました。

12.5ワット(W) を3時間 x 30日 使用した時
約30.375円
(1kWh 単価 27円で計算)

 

 

30円

 

 

やっ、安い!

 

 ちなみに、同条件で2Wだと、ひと月 5円しないです。

 

 気になっていた、色温度ですが、もう少し赤みがかっていてもいいとは思います。

自分の使用条件は、読書ですので、そう感じます。

勉学に励む場合は、この色温度で問題ないと思います。

シャキッと目が覚める色温度です。

バーカウンターで、おしゃれに読書って感じは全くないです。

 

実際に使っての総評

さすがは腐ってもパナソニック製。

しっかりしてます。しかし、中国製。

〇コストパフォーマンスがいい。

〇デザインは、宇宙っぽい。ブラックとシルバーで宇宙船のよう。

〇広範囲を照らしてくれる、実力は素晴らしい。

〇電気代は気にしなくてよい。(使わないときは消します)

〇光源が高さ、60センチまで上がるので、寝そべって読んでいて、

 腰が疲れたと、あぐらをかいて読んでも使えること。

〇アーム部が、ネジ式で調整でき、しかも、しっかりしてる。

〇パーツパーツの面取りがしっかりして、コストがかかってる。

色温度が、少し高め。ちょっと、読書には、パリッとしすぎ。

〇2色LEDなら、唯一の欠点が解消されるが、たぶん15,000円くらいになると思われる。

 (10,000円で抑えてくれたら、充分満足かもしれません)

〇本体へのACコネクタ差込口不格好で、底面差し込みのようにひと工夫あれば、なおよし。

〇心配したモスキートノイズは、悔しいけど全く問題なし。

〇丸いスタンドの台座に、ちょっとした携帯や時計が置ける。

〇2015年2月発売

 

 

いい商品です。買って満足。使って満足。

 

 

 

 

 2016.12.30                   続く

『天地明察』 上・下 冲方丁

素晴らしい。

 

なんと素晴らしい、読後感。

 

ラストもラスト、史実なのかどうか、

 

こんな幸せな終わり方って?

 

心から、うらやましく思いました。

 

それだけ苦労したのでしょう、

それだけ努力したのでしょう、

渋川春海は、幸せに人生を閉じるだけのことをしたのだと思います。

 

渋川春海・・・しぶかわしゅんかい・・・の読み方で記憶してます。

学校の教科書で出てきたか、どこぞの本で読んだか、単なる雑学か、

何をした人かは知りませなんだ。

本書では、しぶかわはるみ。

 

 

天地明察

 

 

ひょぇー、

タイトル最高にかっこいい!!

 

でも何のこと、描いてるか全くわからない。

 

 

天地明察(上) (角川文庫)
 
 

表紙裏の紹介欄には、

 

〇 渋川春海

〇 日本独自の暦を作る

〇 碁打ちの名門の生まれ

〇 算術に生きがい      ・・・・との言葉が

 

ひぇ、ハードル高い。

そもそも、冲方丁先生の名前も存じ上げない。(ごめんなさい)

 

なぜ出会えたかというと、もちろん、本屋大賞大賞受賞作だからです。

 

 

 

正直に、

 

こんな(あえて、こんな)

 

マイナーな題材を扱った小説を、推すとは、

 

本屋さん恐るべし。

 

本が好きだから本屋さんで働くのでしょう。

いろんな本を読むのでしょう。

でもその中からこれって、

これ選ぶって、すごい。

 

逆に云えば、マイナーな要素を、吹き飛ばすほどの作品ってこと。

 

確かに、上下巻560頁を、全くよどむところなく。停滞することなく、

 

読ませる力、

人を虜にして、睡眠不足におとしめる力。

 

もう素晴らしいです。

 

暦のこと、囲碁のこと、算術のこと、

そんなに知らない。

本文中の説明も、理解したんだかどうだか疑わしい。

しかし、それを上手に読ませる手腕も素晴らしい。

 

囲碁、算術、暦・・・等々の説明を、

たとえそのまま、読む側がはしょっても、

 

生き生きした登場人物を、追うだけで、十二分に楽しめる。

 

頑張る人には、応援してくれる人がいる。

努力は、報われる。

一度や二度の失敗で負けない。

 

そんな当たり前のことを、教えてくれます。

 

 

 

 

お天道様は見てるよ。

 

昔よく言われた言葉です。

 

 

まさに、

 

天地明察

 

 

傑作でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえば、

のぼうの城本屋大賞2位でした。

 

本屋大賞恐るべしですね。

 

歴史小説が苦手な人も、触手が動いたのでしょうか。

100万部オーバーはすごい!

 

 

今年は、年度後半、素敵な歴史小説作家に出会えました。

 

加藤廣先生

 

和田竜先生

 

 

天地明察(下) (角川文庫)
 
 

そして、天地明察冲方丁先生。

 

 

益々の健筆をお祈り申し上げます。

これからも、素敵な作品を読ませてください。

 

 

やはり、歴史小説は良い。

 

 

 

 

2016.12.28                           続く