チョン・キョン・ファ 2015年 ヴァイオリンリサイタル in サントリーホール 4/26

 

自分自身の備忘録として・・・・

 

チョン・キョン・ファ 讃

 

チョン・キョン・ファの弾く、

シベリウスメンデルスゾーンチャイコフスキーの各コンチェルトは、

自分にとってのスタンダードです。

なぜか、

 

それは、宇野功芳氏が絶賛してたから。

(CDを購入する際の、指針として長らく愛用した宇野功芳氏の著書)

 

最初に聴いたCDは、どうしても一番耳に残るし、インパクトも強い。

特にこの三曲のように有名曲ならば、

後の後続ヴァイオリニストがわんさかとCDをリリースしています。

演奏技術や最新の録音技術でチョン・キョン・ファのアルバムを凌駕しているものも多いはず。

でも、チョン・キョン・ファの演奏は忘れられない。

 

最初に、曲を覚える為に何度も聴いたというのは、もちろんある。

ファーストインプレッションは、強く残る。

でもそれだけではない、チョン・キョン・ファの持つオリジナルの

濃さとでも言おうか、何かを感じるアジアの血なのか・・・

 

例えば、自分にとってのシベリウスのベストは、

諏訪内晶子、リサ・バティアシュヴィリ、チョンキョンファ

リサ・バティアシュヴィリ盤なんか、聴き終えて拍手入りで、

えっこれライヴだったの!ってな完成度。

しかも、心の耳にも聴こえてくる。

諏訪内盤は、自然に心の耳に入って来るって感じ。

CD聴きながら、違うことしてても、自然に耳に入って(来てしまう)来る。

多分、譜面と諏訪内さんの音楽性が非常に似通っているのでしょう。

 

チョン・キョン・ファ盤は、もう少しアクが強い。

私はこう弾く!って感じが強い。でもヤじゃない。そこが音楽性の高さか?

ハイフェッツも聴いたし、五嶋みどりもヒラリーハーンも前橋汀子も聴いた。

五嶋みどりなどは、好みがあるとは言え、聴いていられなかった。

あんなに、ビッグネームなのに!

ヒラリーハーンも、悪くはないのだけれど、心に入ってこない。

ハイフェッツ盤は、すごい技術って言っても、僕はヴァイオリン弾きじゃないので、

実はよくわかんない。それが本音。

まず最初に、ハイフェッツ盤を聴いていたらスタンダードになっていたかも・・・

 

・・・・・もうそれは、正しい、正しくない、悪い、悪くない、

 

じゃなくて

 

好きか、嫌いか、

 

全くの個人的な、好みなんでしょうけれども・・・

 

・・・チョン・キョン・ファの今回の来日は、コンチエルトではなくリサイタルなのは、ちと残念だが・・・

 

苦い思い出がある。

バーンスタインの最後の日本公演のチケットを確保したにもかかわらず

バーンスタイン本人の体調不良の為のキャンセルで、聴けなかっとこと。

今でも、悔しい思いが残ります。

 

死んでからじゃ遅すぎる。

 

ってことで、室内楽は門外漢だけれども、行ってきました。

歳を重ねたとはいえ、世界一の女流バイオリニスト、チョンキョンファのリサイタル。

ヴァイオリン・ソナタが中心だから、チョンキョンファの表情がよく見えるようにと

右側の席の方がいいだろうと、サントリーのRB席を確保。(これは正解でした)

 

 

プログラム

です。

一曲目のいわゆるスプリングソナタくらいしか知りません。

それだって、どのくらい知ってるって言って良いか・・・・

 

千住真理子さんの1999年のライブで聴いてその場でサインしてもらったCDに、

5番、7番と収録されていて、少しは耳馴染みが・・・・

クロイツェルはCDが無く、評判のいいクレーメルアルゲリッチ盤を購入。何度か聴きました。

 

感想:

シンフォニーを聞き慣れている耳にとって、どうしても音圧を求めてしまい、

マーラーチャイコフスキーのような大音量で満足することを良しとする自分を恥じた。

ヴァイオリンとピアノでこんなに音が出るんだ!

チョンキョンファは、お掃除のおばさんのような腰の動きで音楽を表現していて、

見てて(視覚的に)慣れるのに時間がかかった。

しかし、ダイナミクスのすごいこと。

よく、『本当に感動するのはピアニシモである!』と言われます。

その通りでした。

ピアニシモは、弱くない!

その通りでした。

ちゃんと聴こえます。

しかもはっきりと。

 

音色の変化も素晴らしかったです。

曲は、もちろんダイナミクス、テンポと、

たまにとろけるような、音色で弾かれると、『うふん』ってなります。

しかも、二人の息がぴったり合っていて、

聴いていて楽しいというか嬉しいというか、気持ちよかったです。

 

が、しかし、

なんといっても、ピアノの上手なこと!

べらぼうに、べらんめぇに、上手い!!

うまいっていうか、すごい!!

 

ケヴィン・ケナーさんというお名前なんですが、素晴らしかったです。

 

チョン・キョン・ファよりも素晴らしかったと言っても過言ではない!

 

 

恐るべし、ケヴィン・ケナー

 

 

そして、ケナーを選んだ、チョン・キョン・ファ!

 

 

アンコールは、なんと3曲も、披露してくれました。

2曲目は、ともかく、3曲目は、昨日の相模原の演奏のアンコールじゃないか?と思いました。

そのくらい、拍車が鳴り止まずに、二人で相談したあとに、

愛の挨拶は、譜面なしで演奏されました。

 

アンコール

J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ハ短調 BWV1017から ラルゴ

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調 op.24 「春」 から第3楽章スケルツォ

エルガー:愛の挨拶

 

 

十八番の愛の挨拶が素晴らしかったのは、言うまでもありません。

 

今日が、日本公演の最終日。

このプログラムを持って、ワールドツアーに旅立つらしい。

これだけ愛されるプログラム、そしてこの二人のデュオならば、

国境に関係なく成功することでしょう。

また、この二人に逢いたいです。

 

 

素敵な音楽を、ありがとうございました。

 

 

 

続く                 2015.4.29