『のぼうの城』上・下 和田竜
大好きな本が、一冊増えました。
感謝です。
①テレビで映画を見た記憶が有り、なかなか良かった。
夜の古城でのぼうが歌い踊るシーンが印象的でした。
②表紙イラストと装丁が良かった。
③歴史物にしては、それなりのページ数で、ちょうど良さそう。
④本屋大賞2位
こんなミーハーな、条件から本屋さんで買ってきました。
読み始めたら止まらないとは、このことですね。
結局、一晩で読了。ほぼ徹夜。
15日に読み始めて、今日は、12月16日。
一日、早けりゃ、討ち入りだっツーの。
あっさりしてると言わば言え。
されど、このさくさくな爽快感、スピード感たるや、
他の歴史小説からは得られない快感。
大好きな、池宮彰一郎さんの『本能寺』の説明の多さに辟易して
下巻途中で止まっている身としては、
この、エンターテインメント歴史小説最高!!
そもそも、忍城に関してそんなに知識がありません。
戦国モノ、特に秀吉絡みの小説には、必ず出てくる話でしょうが、
読んでいて、出てくる数多の合戦の一つとしての認識があればいい方かと・・・。
三成メインの小説ならば、忍城も結構掘り下げて出てくるはず。
30年も前に、読んだ司馬さんの『関ヶ原』・・・・・当然記憶なし。
ですから、全てが新鮮。
どんな解釈されても、そうなんだと感心しきり。
だからか、登場人物がみんな自由!
キャラが濃い。
和泉なんか、ページからぽんと出てきそうなくらいの実在感。
そんな濃い人物たちが、所狭しと動き回ります。
侍だからとか、武将だからとか、一切関係なく
たまたまその時代に生まれただけ!
そんな感じで、ひとりの人間としてページからはみ出て動き出します。
動き出して、絡み合っていく、
面白いに決まってます。
まさに、作家冥利。
そして、読者冥利。
本当の開戦は下巻なのですが、
そこに至るプロセスも、余計なことをグタグタと書かないので、
物語を読み始めるとすぐに忍城での戦いにつながっていきます。
若干の説明はあるものの、短めで、くどくない。
作者もたまに出てくるものの、しつこくない。
時代背景に筆を割かずに、会話やストーリーの推進力に筆を費やしてくれてます。
そこが、非常に好みで、本作品の持ち味、サクサク感になってます。
いろんないいシーンがあるものの、
上下巻約400頁を、
読み終えての、満足感が素晴らしいです。
作品の最後に、
さすが脚本家と思わせる、
登場人物のその後を、紹介していきます。
全く陳腐さはなく、
最後、人でなく、城で締めるところが
心憎い、演出でした。
こういう本に出会えて幸せ。
和田竜先生、ありがとう。
2016.12.16 続く