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『秀吉の枷』 上・中・下 加藤廣

文庫で、上・中・下 巻に及び、

約1,000ページの大作です。

いやぁ、あっという間に読み終わりました。

良くも悪くも『司馬毒』に犯されてるので、

 

家康は嫌い。

信長と秀吉は好き。

三成はもっと好き。

 

大雑把に、こんな感じ。

 

・・・個人にスポットを当てた小説よりも、

関ヶ原』とか

『城塞』

真田太平記

等の一族や戦いを描いたものの方が、好きなのかもしれない。

 

 

秀吉の枷〈上〉 (文春文庫)
秀吉の枷〈上〉
加藤廣
 
 

『秀吉の枷』は、文句なく傑作である。

しかし、読後感はよくない。

何しろ、秀吉がかわいそうに思えて仕方ない。

その後ろで、嫌いな家康が笑ってるようだし・・・・。

 

 

男として子を成せないと知ったときはどうだろう。

30代の頃、サラリーマン時代。

親会社の仲良くしていた同い年の同僚に、

まさにそのことを、呑み会の席で打ち明けられて、

絶句した覚えがある。

病院に行って判明したとのこと。

二の句が告げなかった。

 

秀吉の女好きを、

おたふく風邪の後遺症で子を成す可能性が低い、

裏返しと捉えている。

作者の優しさか?

中巻後半から、やけに、子作りに関して筆を割くので、

男として、悲しくなってきたのは事実。

 

あぁ、

 

嗚呼、

 

あゝ、

 

書くの難しい、

 

 

秀吉の枷〈中〉 (文春文庫)
秀吉の枷〈中〉
加藤廣
 
 

秀吉の生涯なのだから仕方ないとは云え、

 

 

子が成せず、

秀次を亡き者にし、天涯孤独になり、

やっと出来たと思うたら、不倫の子、

 世間では、それが周知の事実であり、

数々の悪行から、腹心たちもいなくなり、

体も思うように動かなくなり、

不倫の子を、我が死後『頼む』と

家康ごときに頭を下げる。

 祢々に手を取られながら、

意識薄れていく中、

秀吉は何を思ったろう。

いい人生だったのかな。

 

 

それは流石に、いい思いもしただろう。

それも、気が狂わんばかりの忙しさの代償かも知れない。

常に暗殺を意識して過ごす人生。

いか程のものか。

 

 

秀吉の枷〈下〉 (文春文庫)
秀吉の枷〈下〉
加藤廣

 

 

物語も終末近く、

前野将右衛門は、武士としてでなく、忍びとして、

ひとり寂しく自害して(毒を飲み)果てた。

 

秀吉は、祢々に手を取られながら死んでいく。

 

この作品を、読む限り、

 

前野将右衛門のほうが、幸せだったように思えてならない。

 

 

 

 

 

『死』

 と

『老い』

 

に関して、久しぶりに考えさせられた。 

 

 

 

 

 

 

最期に、枷の意味を

 

〇 枷 (かせ)

 

罪人の首や手足にはめて自由を束縛する、昔の刑具。

転じて、人の行動を束縛する邪魔物。

 

 

題名も素晴らしい。

 

 

『秀吉の枷』

 

 加藤廣 渾身の傑作である。

 

 

2016.12.22                       続く