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『さぶ』 山本周五郎

最近、

あれだけ好きだった、

ミステリーに食指が全くと言っていいほど動かない。

 

当たり外れが多いからか。

 

しかし、

歴史物は違う。

感動が必ず待っている。

否、

ただ好きなだけなのであろう。 うん。 多分そうだ。

 

敦盛の云うところの年齢になって読むには恥ずかしいほどの有名作品。

 

 

さぶ (新潮文庫)
 
 

『読んで無かったんかい!!』

 

山本周五郎さんの作品は、

 

10年ほど前に、『樅ノ木は残った』で、

 

とてつもない感動を味あわせてくれたのが、忘れもしない。

 

 

 

いつの時代の作家かというと、

僕が生まれてすぐに死んでしまった、作家さんです。

古い人です。

生き様を調べてみると、最後の最後の文士のような方だったとか。

 

 

さて、

『さぶ』ですが、

当方、現在、隠居の身につき、読書三昧ですが、

とは言いながらも、

休憩一回挟んで、一日で一気読みって、いかほどの魅力でしょうか?

確かに、新田次郎武田信玄』の後なので、

(この作品も、読みづらいということはない)

時とともに、名前が変わったりしないし、

苗字+役職名+名前 のようにやたらややこしくないし。

地名がわからないと、どこで合戦してるのかこんがらかるということもない。

(まぁ、そういうのが好きなんだけれどもね)

 

舞台背景、時代的には、江戸後期から明治初期でしょうか?

確かに、

古い言い廻しや、表現、

古めかしい言葉、

今では全く使わなくなってしまった物の名前など、

ちょっと慣れないと、戸惑うこともある。

それは、太宰だって、三島だって、夏目だってそうだ。

それに比べればまだいい。

日本語が生き物って証拠でもある。

 

しかし、スラスラと読めます。

歴史ものでなく時代物だからでしょう、

市井の生活主体に描かれているので、全く違和感がなく、

入り込んでいけます。

登場人物が少なく、

(最初は、出てくる人の名前が

ほとんどひらがなで2文字だったので区別つかなかった)

人物描写が深いので、非常にわかりやすい。

文章的に、誰が何を言ったのか、彼我の関係が、

明確なために、混んがらがらない。

場面転換も、はっきりしてるので、戸惑わない。

 

読みすすめていって、ましてや、栄二がこんなんことになるなんて、

という具合で、物語は進んでいきますが、

 

栄二の心の闇

そして、

周りを囲む人々の言葉、行動。

 

 

栄二の心の変遷

そして、

周りを囲む人々の言葉、行動の変移。

 

これが大家の筆なるものでしょうか。

 

特に、何も出てこないし、

何も起きない。

でてきたのは、台風と骨折と肩の筋肉くらいなもの。

ここまで描けるのですね。

素晴らしいです。

昭和の文豪ですね。

 

 

敢えて言うならば、

最後の、最後の、告白に関して、

 

 

もっとくどく、

山本周五郎さんの思いをぶつけてくれたらなぁって感じました。

 

 

じわじわとひたひたと

 

そんな感動ですので、さっぱりと終わるこれでいいのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人生最期に、『周五郎のさぶ 読んで無かったんだよ』ってならなくてよかったです。

 

 

 

 

2017.1.10                            続く