『不毛地帯』 第1巻 山崎豊子

白い巨塔』以来の山崎豊子作品。

 

感動は約束されているものの、

書く作品書く作品、どれも全5巻などと、

大長編のため、読み始めるには、

 

度胸と時間と体力が必要。

 

以前のフジテレビ唐沢寿明主演のドラマを見ていたので、

大体のイメージは知っている。(つもり)

ドラマのイメージは、

 

シベリア抑留での過酷な重労働

松重豊の演技(FAXのシーンが、ものすごい印象に残ってる)

③飛行機のこと

こんな感じ。視聴率あまり良くなかったらしいですね。

いいドラマ作品だったと思います。

 

小説の本作品は、

 

不毛地帯 (第1巻) (新潮文庫 (や-5-40))
 
 

1巻として、

大本営参謀時代、

シベリア抑留時代

近畿商事時代

の3時代を、交錯させている。

 

大本営参謀時代は、軍の役職が盛んに出てきて、

非常に読み進めづらい。時間がかかる。

東京裁判が出てきたのにはびっくりした。

 

シベリア抑留時代は、やはり辛い、負の時代なので

読んでいて辛い。でも、面白い。

シベリア民主主義のくだりは、苦手。

これだけ作者が苦しめておいて、シベリアからの帰国の

エピソードが、さっぱりしていたので、たまげた。

 

近畿商事に関しては、綿糸相場の実態が詳しく描写されるが、

勉強したこともなく、経験ももちろんないので、わかりづらい。

がしかし、楽しく読ませてくれます。

 

自分の意志ではどうにもならない、

時代に翻弄される主人公を描いています。

 

この大前提の前に、

 

もがき苦しむ主人公の壱岐正。

 

山崎豊子が太い筆致で、

一筆書きのように、

作品に魂を、吹き込んでいます。

 

どこが良いとかどこが楽しいとかじゃなくて、

 

こればっかりは、読まないと味わえません。

 

全てにリアルさを感じるということが、

作者特有の、『綿密な取材』なのだろう。

 

白い巨塔では、専門医に質問できるくらい医学を勉強したそうだ。

不毛地帯では、隠岐正のモデルと称される

伊藤忠商事元会長の瀬島龍三氏に取材を申し込むも

再三再四断られたそうだ。

しかし、山﨑の根気に負けて、

100時間にも及ぶインタビューを行ったそうである。

 

 

作家魂ここにあり

 

 

すばらしい。

 

 

 

 

 

 

 

今から、読み終えた時の感動と虚脱感が予想される。

この感動も、あと4巻残すのみ。

 

 

 

 

続く                             2017.1.18