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『不毛地帯』 第5巻 山崎豊子

残念なことに、全5巻

読み終わってしまいました。

 

 

不毛地帯 第5巻 (新潮文庫 や 5-44)

 

 

恩師シリーズ②

 

高校二年生の時の現代国語の高橋先生。

ヨーダを、少し大きくしたような感じの先生でした。

 

ある時授業で、トルストイドストエフスキーの話になり、

 

下北沢の三文役者のように、

いかにも、腰をかがめて、両の手をひろげて、

こうのたもうた。

 

『君たちは罪と罰を読んだことがないのか?』

 

 

挙手させたところ、名前は忘れたが、いかにも、

勉強はできるが、長髪で、おカマっぽいやつが、

手を挙げた。

 

そして、師のたまわく

 

『おぅ!なんて幸せなんだ君たちは、

あの感動を、これから味わえるというのかい?』

 

 

先生!あと5年働けば定年なんだから、

こんなところで、血圧上げて、倒れないでよ!

って言いたいくらいの、テンションだった。

 

教室は笑いに包まれたが、

僕は、

中2の時に、司馬遼太郎の『関ヶ原』全三巻を読破し、

読み終えた時、

『あぁ、読み終えちゃったよ!この歳で』

って感じ、感動したことを思い出していた。

 

 

さかのぼって、

小学校一年生の時に、母が買ってきた、シートン動物記の

『狼王ロボ』

推薦図書にでもなっていたのか、なぜこの本を選んだかは謎だが、

ただ単に買い与えられて、読めと言われて、

本も読んだことのない僕は、

それ以来、大の本嫌いになった。

 

4年生の時に、シュバイツァーの伝記の感想文を書く羽目になり、

嫌々ながら書いたものの、

感想文とは、感想を書く事であり、あらすじを書く事ではないと、

ごくごく当たり前のことを、改めて教わり、

本当に本当に、本が嫌いになった。

 

中学に上がり、少しは日本語が使えるようになってきた頃、

神奈川の短大で一人暮らしをしている、姉の部屋で、

その夜、新潮文庫の綺麗なうす緑の背表紙をした、

一冊一冊が薄めの本を見つけた。

 

星新一って書いていある。作家の名前だろう。知らない。

 

めくってみると、なんと、

一話が4、5ページだ。

なんだこれ?

興味を持って、1冊部屋に持ち帰り、

読み始めてみた。

 

そのうす緑色の綺麗な背表紙をした本を、読み終えたとき

朝になっていた。

なにか、全く違う世界を見つけたような気がした。

勉強でもない、スポーツでもない、テレビの漫才でもドラマでも映画でもない。

 

何かを。

確かに見つけた。

 

それから、姉の本棚にあった、数冊の星新一の著書を、

貪るように読み漁り、

本屋に行く楽しみを知った。

そして、SFつながりで、

僕は、筒井康隆ワールドにはまっていった。

 

たくさんの本を読むようになり、

 

 

そして、関ヶ原に出会う。

 

 

高橋先生に戻る、

・・・・ドストエフスキーか、

読んでみるか?

有名な、『罪と罰』の文庫を買って帰り、

読み始めたら、

数ページで、降参。

難しくて読めなかった。

そんな思い出がある。

 

 

いま、『不毛地帯』を読み終えて、

感じるのは、

読み終えちゃったな

ということ。

 

しのごの言わずに、終わっちゃったと感じる。

 

 

高橋先生はいろんなことを教えてくれた。

太宰治の死のちょっと前に会ったこと、

ある作家が、新潟に行って方言を調べた時の、大ウケの話、

志賀直哉の城崎にての話・・・

今でも覚えてる。

 

読書、日本語の大切さを教えてくれた。

 

そして、

中2の時の、教育実習の可愛かった近藤先生。

2週間いろいろ教えてくれて、

別れの時に、こう言った言葉が忘れられない。

感極まって、大粒の涙を流しながら、

『たくさんたくさん、本を読んでください』

 

この言葉も、僕の心と記憶に深く突き刺さってる。

 

 

こういった、恩師の言葉を守って、

こうして、『不毛地帯』に出会えたのかもしれない。

 

高橋先生も近藤先生も、こういう感動を知っていたのだろう。

 

今思う、

 

『本は、いろいろなことを教えてくれる』

 

 

 

 

 読書、

 

こんなに素晴らしく、安上がりな趣味は他にない。

 

 

このような素敵な本に出会えるから、読書はやめられない。

 

 

 

不毛地帯』、『白い巨塔』に肩を並べる山崎豊子の傑作です。

 

 

 

 

 

 

 

続く                             2017.1.24